聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「楽しいですね! これぞ、学生生活って感じがします」
「ああ、うん」
「……負担ですか?」
「いいや、僕をみくびらないでもらいたいな」
「なら、お願いします。ほら、パウラも」
「う、うん。さっきルーカス様の言ったこともよく考えてみます。だからお願いします!」
「そうか、ならわかった」
マルティーナとパウラは顔を見合わせて、『ふふっ』と笑った。
「うれしいわ」
「よろしくね」
「君たちは本当に仲よしだな」
ルーカスも目を細めた。
マルティーナは、その優しい笑顔も好きだ。
(そういえば、ヴァレリアはアーロン様とはこんなふうに気安い会話なんてしたことがなかったじゃないの)
ということは、今抱いているこの感情も、ヴァレリアが経験したことがない、正真正銘マルティーナだけのものだ。
マルティーナ自身としてルーカスが好きだと認めてしまった先ほどから、ここのところずっとモヤモヤしていた胸のうちは嘘のようにすっきりしていた。
(薬草にそこまでの効果はないはずなのに……)
ルーカスが自分のことを好きなように思えてしまうことだけはどうにもならないが、自分の気持ちも進路の悩みも解決していた。