聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 いい言い訳が閃いたと思った。
 しかし、父親は渋面を浮かべた。

「どうだろうな。あの国なら、どう出てくるかわからない」
「しかし、マルティーナを留学させるために寄付金を納めたはずです!」
「そう、あれは実質はどうあれ、名目はただの寄付金だ。マルティーナ嬢の身請け金ではないのだよ」
「そんな!」
「寄付金だから、こちらとしても『マルティーナ嬢を帰国させるなら、金を返せ』と要求するわけにもいかないしな」
「……くっ! やり口が汚い!」

 はらわたが煮え繰り返りそうだった。

「まあ、まだ想像に過ぎないよ。とはいえ、あの国が汚いのは今に始まったことではない。もしものとき、お前はどうする?」
「マルティーナを、ルーボンヌに好き勝手利用させたりはしません!」

 声を荒げると、肩をぽんっと叩かれた。
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