聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 前世からそうだった。
 ヴァレリアがアーロンのために神聖魔法を使っていたと知るのも。
 ヴァレリアのことが好きな気持ちに気づくのに至っては、生まれ変わってからようやく、という体たらく──

 後悔するのはもうたくさんだと思った。

(そのためにも、もうグズグズしない!)

 一方マルティーナのほうはというと、パウラも加わった勉強会では、時折楽しそうにもしていたが、ほとんどの時間それはそれは真剣に取り組んでいた。
 目指す進路が定まり、気持ちが安定しているようだった。

 例の件は、マルティーナへは『学院長経由で話がいく』と父親から聞いていたが、もしかしたらまだマルティーナには行っていないのかもしれない。

 グズグズしないと決めたばかりだが、集中力に水を差さないために、話をするのは試験の後にしたほうがいいと判断した。

 その代わりに、ルーカスは試験勉強の傍ら、できる限りの準備を先に済ませておくことにした。
 試験が終わり次第マルティーナに話をして、すぐに動き出せるように──
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