聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「ふう、助かったー。ありがとう! それにしてもマルティーナの魔法ってすごいのね」
「えっ、そ、そう?」
「うん。だって、こんな重い本棚を軽々とどかしちゃうんだもん」
マルティーナは驚くと同時にうれしくなった。
優秀であろうはずのパウラから、そんなふうに褒められるとは思ってもみなかったからだ。
ルーボンヌ神国では、自然魔法について詳しく知っている者はいなかった。
そして、この学院に入学が許可されたのは、正規ルートではなく特別推薦枠だった。
それゆえに、自分の自然魔法がどの程度通用するものなのか見当もついていない。
大きな自信をもっていて落ちこぼれるのと、端から諦めている状態で落ちこぼれるのとでは、精神的ダメージはずいぶん違う。
どちらがよいかなど、考えるまでもない。
当然、後者を望んでいた。
しかし、淡い期待が湧く。
(ここでは落ちこぼれずにやっていけるかも……?)