聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 ルーカスが小さく安堵のため息を吐いた。

「きっと大丈夫だろうとは思っていたけれど、ぴったりだったな。当時の流行で、華美なデザインだけど、今日はこのぐらいがちょうどいい。これは聖女ヴァレリアの指輪なんだ……と伝えられている」

(ああ、そうなんだわ)

 マルティーナはようやく理解した。

(ルーカス様はアーロン様で、私はヴァレリアだったのね)

 あのときは、突拍子もない発言だと思っていた。
 自分が聖女の生まれ変わりだなんて。

(ルーカス様は、いつから気がついていたのかしら?)

 恐らく最初からだ。
 魔法学院の敷地内で会ったときにあんなに驚いていたのも、自己紹介もなく話しかけてきたのも、自分のことを聖女だと勘違いしていたのも、全て説明がつく。

(新入生歓迎パーティーのタローロが急遽変更になったのは? パウラたちとショッピングに行くのに、なぜかルーカスがついてきたのは? 全部が全部ヴァレリアだと知っていたからだなんて、考えすぎかしら?)
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