聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 マルティーナはパウラが立ち上がるのに手を貸した。

「ゆっくり。慌てないでいいから」
「痛たたたっ」

 パウラは少し体を起こしたところで、顔をしかめた。
 マルティーナの腕から滑り落ちるようにして、再び床に這いつくばった。

「どうしたの?」
「足が! 強烈に痛くて!」
「どの辺り?」

 パウラは右側の脛をさすった。

 女性同士だし、何より同郷のウーゴが素手で握手を求めてきたのだ。
 とっさに問題はないと判断する。

「直接触れるわね」

 マルティーナはゆっくりパウラの手を脛から引き剥がすと、代わりに自身の手を当てた。

 マルティーナは意識を空中へと向けた。
 この国に到着して以降も絶えず感じていた神聖力を取り込むためだ。

「マルティーナ? どうかしたの?」
「ほんの数秒だけ静かに待ってて……」

 その真剣な表情に、パウラは口をつぐんだ。

 マルティーナは集中し、ごく小さな声で何かを唱えた。
 すると、にわかにマルティーナの手が白銀色の光を帯び始めたのだった──

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