聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「久しぶりですね。アンダルイド王国ではがんばって学んでいますか?」
「はい……」

 と答えたはいいが、強烈に違和感を覚えた。

(久しぶりも何も、大神官様からしたら、私とは面識がないはず……)

 それに、妙に親しみを込めたような口調も引っかかる。

「早速ですが、マルティーナさんの神聖魔法を確認させていただけますか?」

 お付きのひとりが小箱を大神官に手渡すと、大神官はマルティーナに向かってそれを開いた。
 その瞬間、目に映るはずのない禍々しい気配が確かに見えた。

「この石に浄化魔法をお願いできますか?」

 わざと失敗するだとか、加減するだとかしても無駄だろう。
 そもそも神聖魔法など使わせなくとも、マルティーナがそうであるように、大神官のほうもマルティーナの能力は把握できているはずだ。
 デモンストレーションとして、神聖魔法を使わせたいに過ぎない。
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