聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
ルーカスがマルティーナに向かって頷いた。
マルティーナもルーカスに頷き返した。
「了解しました」
マルティーナの手が光り、石を取り巻いていた禍々しい渦が消えると、大神官のお付きの者たちは感嘆の声を漏らした。
大神官には予想できた結果だったに違いない。
それでも一拍遅れて、目を見開いた。
「なんと素晴らしい。まさに聖女に相応しい! 実績を積めば、いずれは大聖女にもなれるでしょう!」
(聖女……!?)
能力的に問題がないのは疑いようがない。
しかし、あまりにも唐突すぎるではないか。
「留学期間を終え、帰国したらすぐに任命式をおこないましょう」
「ま、待ってください! 私は家族からも『帰って来なくていい』と言われている身で、アンダルイドに骨を埋めるつもりで留学しました!」
(冗談じゃないわ!)
あれほどなりたかった聖女──
それがどのような扱いを受けるのか。
200年経とうとも大きくは変わっていないだろう。