聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
しかし、大神官は鷹揚に笑った。
「それで、婚約者殿のことはどうされるつもりなのですか? まさか忘れてはいませんよね? オルランド・バジョ卿です。実は今回護衛騎士として同行してくれていますよ。若いのになかなか立派な青年ですね」
「そんな……!」
「もしよろしければ、このあと会っていかれては?」
小さい頃、確かにそんな名前の婚約者がいた。
「婚約は解消されたものだと……」
「そのような事実は聞いていません」
「ですが、家族からも『アンダルイドでいい人を見つけたら帰ってこなくてもいい』と……」
目眩がしそうで目を閉じたとき、ルーカスの呟きが聞こえた。
「婚約者の登場とは……どこの国も似たり寄ったりだな」
おそらく、マルティーナにしか聞こえなかっただろう。