聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「どうかした?」
「ええっと……少し学校で学んだだけの治癒魔法より、お医者様にきちんと診てもらったほうがいいかなと思って……」

 マルティーナの声は徐々にか細くなり、消えてしまった。

 ルーボンヌへの留学が認められた条件以上の行為をおこなうことは、後々面倒を引き起こすかもしれない。
 最悪の場合、ルーボンヌへ連れ戻される可能性だって無きにしも非ずだ。
 もう戻らないと決めて、ルーボンヌを出た。
 中途半端な治癒魔法を得意気に振る舞った咎で強制帰国など、絶対に避けなければならない。

「そっか、神聖魔法にだって、できることとできないことがあるんだね。考えてもみれば、何でも治せるような魔法があるはずないかー。そんなことできたら、奇跡だもんね」

 事実は逆だ。
 医師では直せないような病や怪我さえも治せるからこそ、神聖魔法は重宝されているのだ。
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