聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 その様子を見て、4人はクスクス笑い始めた。

「今日は移動と入寮で疲れてるだろうっていう配慮があって、たぶんああいう優しい食事だったんだと思う」

(……つまり?)

「入学式のあとに新入生歓迎パーティーがあるのは知ってるよね? そのときには、アンダルイドの伝統料理がメインとして出されるんだって。お祝いの席では定番の料理なんだけど」
「それが問題なんだよね」
「小さかった頃は苦手だった」
「私なんて今でも苦手だよ。いっつも我慢して食べてる!」

 口々に言いながら、4人はとうとう噴き出した。

 パウラが怖々訊いた。
 
「それって一体どんな料理?」
「近海で採れる、全長1メートルくらいのタローロっていう魚があるんだけど、それを切ったりせず、そのまま野菜と一緒に蒸すの」

(……それ)

「眉ツバなんだけど、タローロは魔力を蓄えてるって伝承があって、魔法使いは丸ごと食べるといいんだって」
「へえ。で、それのどこが問題なの?」
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