聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

「以前にもアンダルイドに来たことがあるの? 旅行とかで?」
「いいえ、1度もないわ」
「海は繋がってるんだから、アンダルイド以外でもタローロは採れるはずだし、同じような調理法で食べてる国が他にもあるのかも」

(もしかして覚えていないだけで、幼い頃に食べたことがあった? でもそんなことって、ありえるのかしら?)

 マルティーナは今回の留学以前に、ルーボンヌ神国から出たことすらない。
 そして、高地にあるルーボンヌで、それほど大きい魚は獲れない。
 小さな川魚がせいぜいだ。

(なら、別の辛くて苦い魚料理を食べたことがあって、舌がそれを思い出したのかしら?)

 それはありえそうなことに思えた。

(明後日食べてみれば、もっと思い出す可能性もあるかもしれない)

 そう考えると、マルティーナは洗礼をくらうことがむしろ楽しみな気がし始めるのだった。

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