聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

5

 マルティーナたちは、開けっ放しにされている出入り口を通り過ぎて、食堂の外へ出た。
 おしゃべりに夢中になっている間に、日は完全に落ちていた。
 しかし外灯が点っているため、それなりに明るい。

 食堂と寮とは渡り廊下でつながっている。
 屋根があり、雨の日でも濡れずに歩くことができそうだ。
 食堂からしばらくは一本道だか途中で分岐し、それぞれ男子寮、女子寮、それからおそらく校舎と思しき建物群へと続いている。

 最初の分岐で、男子寮から食堂を目指しているであろうグループに出くわした。
 どうやら全員アンダルイド人らしい。
 マルティーナは、髪と瞳の色からそう判断した。
 それからお互いに旧知の仲であることが、その気安い雰囲気から見て取れた。

 マルティーナとパウラより1歩前を歩いていた4人が、こそこそと話し出す。

「もしかして……」
「この学院に入学するって噂は本当だったんだ」

 その声はどこか色めき立っていた。
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