聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました



 そのまま入眠してしまいそうだったところで、突然天井が揺れた。
 その瞬間、宙ぶらりんだった意識がマルティーナの体へと戻った。

 上の階の学生は部屋作りが夕食前に終わっていなかったのか、気に入らなくてやり直しているのだろう。
 パウラのように家具を移動させているようだ。

(倒してしまわないといいのだけれど……)

 息をひそめて、上階が再び静かになるのを待った。

 どうやら無事に家具移動は終わったらしいとわかると、マルティーナは小さくため息をついた。

 もし上階の住人がパウラと同じことになったなら、やはり治癒魔法を使ってしまう。
 使う機会がないに越したことはない。

(再出発のチャンスに恵まれたんだもの。絶対に活かしてみせる!)

 ルーボンヌに生まれながら、自然魔法が使えるのはどうしてなのか?
 もっといえば、神聖魔法と自然魔法の両方が使えるのはなぜなのか?
 マルティーナは、長年の疑問も魔法学院で学ぶことで解けることを期待していた。

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