聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「マルティーナは希望の属性ある?」
隣に座っているパウラが尋ねてきた。
パウラのアンケート用紙が意図せず目に入ってしまったが、意外なことに未記入だった。
「そういうのはまだ全然わからなくて……パウラは?」
「私は……」
パウラは、マルティーナと反対側に座っているウーゴの用紙を窺った。
「何だよ。水か土のどっちかじゃないのか?」
「そうだけど、ウーゴはどっち?」
「さあ。まあ、1年目の成績次第だな。で、パウラは?」
「私もどっちにするかはまだ決めてない」
そう言うと、パウラはささっと『水』と『土』の両方に丸をつけた。
「どうしてその2つなの?」
マルティーナがパウラに訊いた。
「ファーマルズ公国はいっつも水に泣かされてるのよ。毎年、日照りか洪水のどっちかっていう極端な土地で。だから、灌漑と治水事業に従事する魔法使いの需要が高いの」
「国の需要……」
マルティーナはそういうものがあることを知らなかった。