聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
後方では、忍び笑いが起こっていた。
「言われちゃいましたね」
「『話に入ってこないでください』だって。きっついっすね」
声色を真似られ、思わずペンを持つ手に力が入った。
と、マルティーナの背中にパウラが腕を回してきた。
昨夜と同じだ。
優しさがじんわりと伝わってくる。
マルティーナの代わりに、パウラが後ろの面々をキッと睨んだ。
「これがこの国の流儀?」
常に美人なパウラだが、怒るとその美しさはより際立つ。
マルティーナの口真似をした学生は、はっと息を飲んだ。
批難されて罪悪感を覚えたのではなく、パウラに見惚れていた。
そんな場面ではないはずだが、それも仕方のないことだと思う。
パウラの横顔は、同性のマルティーナですらため息が漏れそうなほど美しかった。