聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
しかしパウラはそのことに一切の興味がないようで、蔑んだように鋭く言い捨てた。
「心細い留学生に対して、ずいぶん紳士だこと」
そう言うパウラは、これっぽっちも心細そうには見えなかった。
睨まれた学生たちのほうがタジタジになってしまっていた。
「そこ! アンケートは書けたのか?」
パウラはフンッ! と鼻から勢いよく息を吐いてから正面を向いた。
マルティーナは上体をパウラに寄せた。
「ありがとう」
ウーゴも前屈みになり、パウラとマルティーナを覗き込む体勢になって小声で言った。
「パウラ、それからマルティーナさんも。今後また何か言われたり嫌がらせされることがあったら俺に教えて」
パウラはすぐさまコクコクと頷く。
(頼っていいものかしら?)
マルティーナの不安を吹き飛ばすように、ウーゴは白い歯を見せてきた。
それで迷いつつも首を縦に振ってしまった。