聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
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「今日のところは以上です。アンケート用紙を提出した者から寮に戻っていいですよ。明日の入学式は、くれぐれも遅刻しないようにしてください」
教師の号令で、前方に座っていた学生たちから、パラパラと立ち上がり始めた。
マルティーナたちも少し待ってから、それに加わった。
マルティーナとパウラが横に並んで歩き、その後ろをウーゴが歩く。
ウーゴにそういう意図があったかどうかはわからないが、ふたりを護衛するような格好になった。
講堂を出たところで肩を叩かれたのはウーゴだった。
「少し話せるか?」
「へっ、俺?」
「そうだ」
叩いたのは、マルティーナに無遠慮に質問をしてきた例の学生だった。
ウーゴは一瞬だけ驚いた表情をしたものの、すぐににこやかに返事をした。
「別に構わないけど」
「なら一緒に寮の談話室に来てくれ」
そうして連れ立って男子寮の方角へと行ってしまった。