聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
その途中で、ウーゴは1度だけこちらを振り返って手を振ってきた。
穏やかな表情だった。
「どうしてウーゴなのかな?」
パウラの漏らした呟きに、マルティーナの胸はザワついた。
(まさか、さっき小声で私たちに言ったことが後ろまで聞こえてた? そのせいでウーゴさんが呼び出された?)
「私のせいで、どうしよう……」
「えー? むしろ悪いのは私だよー」
「いいえ、パウラだって私を庇ってくれたんだし!」
パウラは微笑みながら、首を左右に振った。
「ウーゴのことなら心配いらないって。昔から敵を作るってことができないんだよね。今回だって絶対大丈夫!」
「だといいけど……」
祈るように両手を組んで握り締めながら、見えなくなってしまうまでウーゴの背中を見つめ続けた。