聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 ルーボンヌ人は色素が薄い。
 マルティーナも例に漏れず、髪はホワイトブロンド、瞳はブルーだ。
 ルーボンヌ人とまでは分からなくとも、外国人であることは一目瞭然だろう。

(外見はどうしようもないとしても、できるだけ浮かないようにしたい……)

「ダニエラ、最後の最後までありがとう。ルーボンヌまでくれぐれも気をつけて帰って」
「えっ、まだ……」
「ここでいいわ」
「私ですら重いのに、お嬢様にはキツいですよ。どうか学生寮まで運ばせてください」

 その言葉をうれしく思いながらも、マルティーナは首を横に振った。

「大丈夫。私は自然魔法が使えるんだから。知ってるでしょう?」

 ダニエルが重そうに両手で下げているトランクをふわりと浮かせてみせた。
 そうしてダニエラの手から、するっとかすめ取った。
 『ね?』とマルティーナが笑顔なのとは対照的に、ダニエラは複雑な表情を浮かべた。
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