聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
即断即決だった。
そうしてルーボンヌから逃げ出してきたに過ぎない。
家族もあからさまに喜んでいた。
それから国を去るまでの期間はひたすら留学のための準備に充てたが、頭の中は留学後どうやって生きていこうかということでいっぱいだった。
(そんな私が世界に貢献なんて壮大すぎるわ)
マルティーナが考えに耽っている間にも、式は進行していった。
「……続きまして、新入生代表挨拶に移ります。新入生代表ルーカス・フォアトゥーデス・デ・アンダルイド君」
(この名前……新入生に王族の方が?)
『はい』と短く、けれどホール中に凛と響く返事をして立ち上がったのは、そう、あの男子学生だった。
(あの遠慮のない態度は王族だったからなのね……)