聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
一昨日と昨日のやりとりを回想した。
オリビアたちが口の利き方を注意しようとしてくれたことも、すぐに思い出した。
(みんなは知っていたんだわ。当然よね、自国の王族なんだもの。ということは、どう考えても私の応対はマズかったわよね……)
指先が冷えてくる。
学院では身分差はないなど、建前であろうことは容易に想像がついた。
ルーカスはA組の最前列から登壇するまでの間、一定なテンポの靴音を響かせた。
とりわけマルティーナの耳にはよく響いた。
(王族だと知らなかったんだから、これまでのことは仕方がなかった、とはならないかしら……なるわけがないわね。無理がある。幸いにもクラスは違うんだし、今後は係ることがないように距離を取るしかないわ……)
前途は多難のようにしか思えなかった。