聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「マルティーナさんは何か聞いてる?」
「い、いいえ! ただ興味あるなと思って」
「俺も、俺も。なんか、めちゃくちゃ豪華なご馳走が出てきそうな雰囲気するね」
(パウラは、ウーゴさんには内緒にするつもりなんだった。危なかったわ)
期待しているウーゴに対して、悪い気がするにはした。
けれど、何も知らずに食べてしまって大騒ぎしているウーゴに、パウラと一緒になって誠心誠意謝るのは楽しそうだ。
そうして3人で大笑いする光景を、ありありと思い浮かべることができた。
マルティーナはがんばって笑いを堪えた。
「そろそろ教室に行きましょうか?」
「そうだな、そうしよ」
(せめて、すぐに差し出せるように、飲み物ぐらいは用意しておこうかしら?)
さっき堪えきったはずの笑いが漏れてしまった。
何も知らないウーゴはのん気に言う。
「マルティーナさんは歓迎パーティーが本当に楽しみなんだねー」
「ええ。絶対楽しいもの!」
しかし、マルティーナたちがタローロの蒸し料理を食べることはなかった──