聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 再会して翌日になっても、ルーカスに対するマルティーナの態度はやはり厳しいものだった。
 さらに悪いことに、友人たちが彼女の怒りを増大させてしまった。

 そこでマルティーナの代わりに、マルティーナの近くに座り、親しそうに会話をしていた男子学生から現在の彼女の状況を教えてもらうことにした。

「マルティーナさんのこと?」

(今はマルティーナという名前なのか)

 それもウーゴから聞いて知った。

「俺も昨日知り合ったばっかだから、ルーボンヌからの留学生ってことくらいしか……あっ、でも同じファーマルズから来てるパウラが、『寮の部屋が斜向かい』だって言ってたから、パウラから色々聞けるかも」
「頼む!」
「はっはーん」

 ウーゴはにやにやし出した。

「一方的にひと目惚れしちゃったってわけね?」
「ち、違う!」
「王子だからって、隠さなくてもいいじゃんかよ」

(僕とヴァレリアは断じて色恋が絡むような関係ではない!)

 しかし、ウーゴにそれを説明することはできない。
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