聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 ルーカスは、生まれ変わろうとも嗜好は変わらなかった。
 アーロンだった頃と同じだ。

 ひとつの可能性が浮上する。

(まさか……ヴァレリアではない? ひと目見て、ヴァレリアだと直感したが、その直感が間違っていた?)

 ルーカスは自問した。
 今まであったはずの確信が揺らいでいる。

(どうにかマルティーナがヴァレリアだったかどうか確かめる方法はないのか?)

 しかしマルティーナからは、はっきりと拒絶の態度を取られている。
 仮にヴァレリアだったとしても、真っ正面から問い質して、相手にしてもらえるかどうか。

 仮に相手にしてもらえたとしても、『どうしてそんなことを訊くのか?』と逆質問されたら非常に困る。
 
(どうしたものか……)

 悩んだところで答えは出てこなかった。

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