聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 ウーゴは身を乗り出してきた。

「演習授業の初回だったから、腕試しってことでひとりずつ水魔法を実践させられたんだけど、マルティーナさんの番になって演習室が騒然としたんだよ」

 ウーゴも大騒ぎしたうちのひとりで、今なおそのときの状態を引きずっているのだろうと想像できた。

「真剣な表情でどこでもない空中を見てたと思ったら、準備もなくいきなり魔法を発動させたんだよ。しかも、どばあっと一気に水を出してタライいっぱいまで張っちゃって!」

 『自然界には、実体はないが魔力の源というべきものが存在する』というのが一般通念で、魔法を初めて学んだときにもそう教わった。
 自然魔法を発動させるには、それに自身をつなげ、自然魔力を利用できる状態にしておかなければならない。
 水魔法を使いたければ水の魔力を、土魔法であれば土の魔力を、といった具合に。
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