聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
「マルティーナは魔力はどこから得ていたんだ?」
「それ不思議だよな! ナサリオ先生からも訊かれて説明してたんだけど、『空気中に浮遊してる』んだって」
「それはどういう……」
「な? 訳わかんないだろ。ああいうのを天才っていうんかなー」
『天才』と称して簡単に片付けてしまうのは、どこか違う気がした。
(ああ、そうか!)
ルーカスには思い当たることがあった。
(ヴァレリアが神聖魔法を使うとき、やはりそうではなかったか?)
ヴァレリアが神聖魔法を使う場面を見た回数は数えるほどしかなかった。
意図的に避けていたためだ。
それでもあの横顔は印象的で、はっきりと憶えている。
こうなってみると、マルティーナが魔法を使う瞬間を何が何でも確かめてみたくなってくる。
(どうにか見られないものか……)
ルーカスの願いは、意外とあっさり叶うことになるのだった──