聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました



 ウーゴから実習の話を聞かされてから1週間後、ルーカスは学院長室のドアをノックしていた。

「失礼します」
「ルーカス君、待っていました。どうぞこちらにお掛けください」

 ルーカスは案内されたソファに腰掛けた。

「今からは、学院の学生としてではなく、王室の一員として聞いてください」

 これはつまり、他言無用という意味だ。

「わかりました」

 王子の特権を振りかざすのは控えなければならないと思っているが、義務を負うほうなら別だ。
 たとえ学生であっても、責務は果たさなければならない。

「殿下は……」

 学院長も『殿下』と呼んだ。

「この学院が、ルーボンヌ神国から留学生を迎え入れたことはご存知ですか?」
「ええ。会ったときには驚きました」
「そうでしたか。陛下のご判断で、彼女のことを殿下にお話するのは入学後に私から、ということになっていたのですよ」
「それほど訳ありなのですか?」

 学院長は深く頷いた。

「実は彼女、稀有な能力をもっていまして、」

(きた!)
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