聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

 聖女としてこの国にやってきたヴァレリアとは、あまりにも違う。
 ということは、マルティーナはヴァレリアではないのか。

「偶々私がルーボンヌの神学校を訪問する機会がありまして、そのときに向こうの教師から彼女について相談を受けました。会ってみたら、相当な自然魔法を使いこなしていました。独学ゆえ、少々奇抜でがありましたが。そこで、この学院に誘ってみたのです」
「学院長からですか?」

 学院が学生個人を勧誘したなどという話を耳にしたことがなかったため、少し驚いた。

「ええ。もし彼女が平民であれば、治癒魔法が使えるだけでも暮らしていくのに困らないはずです。しかし幸か不幸か、彼女の家は高位貴族なんですよ。小さな治療所のようなところで働くことはできないし、かといって異端者として見られているので嫁ぎ先を見つけることもで難しいでしょう……」

 そこまで説明されれば、否が応でもマルティーナの置かれている状況を理解できた。
 そして、『この国に定住したいのか?』と訊いた自分の無神経さも。

(そうせざるを得ないのか……)

 後悔先に立たずとはこのことだった。

< 76 / 220 >

この作品をシェア

pagetop