聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました

14

「マルティーナ君、さっそく治癒魔法を見せてもらってもいいですか?」
「……はい。どなたにかけますか?」
「ガラン先生、」

 学院長に呼ばれて、ガラン先生はマルティーナの前に出てきた。

「先週3年生の実習中に、学生の火魔法が暴発しまして。とっさに庇ってこの通りです」

 そう言いながら、右手に巻いていた包帯をほどいた。
 すると焼けただれた皮膚があらわになった。
 ルーカスは堪えきれずに、『うっ』と声を漏らしてしまった。

 ほかの教師たちも、順々に後ろから回りこんで覗いては、顔をしかめたりうめき声を上げたりしていた。
 ルーカスはその隙に、こっそりとマルティーナの表情を横目で窺った。
 研究室の中でひとりだけ、驚きも身じろぎもせず、ガラン先生の右手をただただ一心に見つめている。
 ルーカスはその真剣な眼差しに、一瞬自分が研究室にいることを忘れた。
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