聖女になれなかったので魔法大国へ留学することにしたら、まさかの再会が待っていました
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遠目に、大金で買われルーボンヌ神国からはるばるやってきた聖女を乗せた馬車が見えてきた。
(間に合ってしまったか……)
聖女は王宮につくなり、国王のもとへ連れていかれ、治癒することを要求された。
自分の役割を重々承知しているとでも言いたげな顔をしていた聖女は、眉すら動かさずに静かにそれを受け入れた。
国王の寝所へ通された聖女は、ベッドの上に横たわる国王の手を、了承を得ることもなしにいきなり取った。
その瞬間、皆が一斉に息を飲んだ。
しかしその緊迫した空気に気づかなかったのか、聖女はその真剣な表情を一片も崩さなかった。
そうして聖女の手が発光すると、みるみるうちに国王の血色がよくなっていった。
いつぶりのことだろうか。
アーロンは、国王が双眼を全開にするのを部屋の隅から眺めていた。
(そのままくたばってくれればよかったのに……)
胸の中でドス黒い感情が渦を巻いた。