無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
4章 3 カインとの会話
『ユズ』の町を出て、3日後――
私達は次の町『カンナ』に到着し、今はカインと2人で買い物に来ていた。
ゾクッ!
不意に背中に寒気を感じ、思わず背後を振り返る。
「リアンナ様、どうかしましたか?」
隣を歩いていたカインが尋ねてきた。
「うん、何だか背中に寒気を感じたのよ」
「え? 大丈夫ですか? 買い物はやめて宿屋に戻りますか?」
カインが眉をひそめた。
「ううん、大丈夫。買い物を続けましょう。それに宿屋で留守番をしているニーナとジャンにお土産を買ってくる約束をしているしね」
ニーナとジャンには宿屋でマジックのアイテム作りをお願いしている。
本当は、ジャンが私の護衛? として買い物について行くと言っていた。けれどこの町はあまり治安が良くないらしく、カインがお供することになったのだ。
「分かりました。ですが体調が悪い時はいつでも言って下さい」
「うん、ありがとう」
返事をすると、カインは笑顔で見つめてくる。
う〜ん……。
背の高いカインを見上げながら、並んで歩いていると妙な気分になってくる。一体、彼は何を考えているのだろう?
あれから伝書鳩で連絡をすることもしていない。現に、今彼の肩にはオスカーが乗っている。
「あの……カイン」
「何ですか? リアンナ様」
「少し、聞きたいことがあるのだけど……殿下とは連絡を取っているの?」
「……いえ、取っていません」
少しの間を空けてカインが答える。
「どうして? 私のことを報告する義務があるんじゃないの?」
するとカインが思い詰めた顔で私を見つめてきた。
「リアンナ様は……殿下のことをどう思っていらっしゃいますか?」
「え? 突然どうしたの?」
まさか逆に質問されるとは思いもしなかった。
「記憶を無くす前のリアンナ様は殿下のことを慕っておられました。今はどうなのです?」
「殿下のことは、何とも思っていないわよ。第一大勢の前で、あんな酷い態度を取られても慕っていられるはずないでしょう。むしろ、もう二度と関わりたくない相手ね」
「そうですか、それを聞いて安心しました」
再びカインが笑顔になる。
「もしかして、その質問と殿下に連絡を入れないのは関係があるの?」
「リアンナ様が嫌がるようなことは、したくありませんので。元々殿下には、リアンナ様がこの国を出ていくところを見届けるように命じられていただけですから」
スラスラと私の質問に答えるカイン。
う〜ん……。でも本当に、そうなのだろうか?
「カイン、殿下の命令に背くようなこと……していないわよね?」
「!」
すると一瞬カインは驚いたように目を見開き、何故か少し目元を赤く染めた。
「リアンナ様……ひょっとして、僕を心配してくれているのですか?」
「それはそうよ。私のせいでカインを巻き込むわけにはいかないでしょう? 私はこの国を出ていくけど、カインはこの先もずっと殿下の側に残るわけなんだから」
「……そうですね。でも、僕のことはお構いなく。リアンナ様が出国されたら、殿下の元に戻って伝え……」
その時、突然カインが険しい顔をすると私の肩を抱き寄せてきた。
「え? な、何!?」
するとカインが耳もとで囁く。
「……誰かにつけられています」
「え!?」
慌てて振り返ろうとしたところを止められる。
「振り返ってはいけません。とりあえず、そこの路地裏に入ります」
カインは私を抱き寄せたまま、大股で路地裏に入っていった――
私達は次の町『カンナ』に到着し、今はカインと2人で買い物に来ていた。
ゾクッ!
不意に背中に寒気を感じ、思わず背後を振り返る。
「リアンナ様、どうかしましたか?」
隣を歩いていたカインが尋ねてきた。
「うん、何だか背中に寒気を感じたのよ」
「え? 大丈夫ですか? 買い物はやめて宿屋に戻りますか?」
カインが眉をひそめた。
「ううん、大丈夫。買い物を続けましょう。それに宿屋で留守番をしているニーナとジャンにお土産を買ってくる約束をしているしね」
ニーナとジャンには宿屋でマジックのアイテム作りをお願いしている。
本当は、ジャンが私の護衛? として買い物について行くと言っていた。けれどこの町はあまり治安が良くないらしく、カインがお供することになったのだ。
「分かりました。ですが体調が悪い時はいつでも言って下さい」
「うん、ありがとう」
返事をすると、カインは笑顔で見つめてくる。
う〜ん……。
背の高いカインを見上げながら、並んで歩いていると妙な気分になってくる。一体、彼は何を考えているのだろう?
あれから伝書鳩で連絡をすることもしていない。現に、今彼の肩にはオスカーが乗っている。
「あの……カイン」
「何ですか? リアンナ様」
「少し、聞きたいことがあるのだけど……殿下とは連絡を取っているの?」
「……いえ、取っていません」
少しの間を空けてカインが答える。
「どうして? 私のことを報告する義務があるんじゃないの?」
するとカインが思い詰めた顔で私を見つめてきた。
「リアンナ様は……殿下のことをどう思っていらっしゃいますか?」
「え? 突然どうしたの?」
まさか逆に質問されるとは思いもしなかった。
「記憶を無くす前のリアンナ様は殿下のことを慕っておられました。今はどうなのです?」
「殿下のことは、何とも思っていないわよ。第一大勢の前で、あんな酷い態度を取られても慕っていられるはずないでしょう。むしろ、もう二度と関わりたくない相手ね」
「そうですか、それを聞いて安心しました」
再びカインが笑顔になる。
「もしかして、その質問と殿下に連絡を入れないのは関係があるの?」
「リアンナ様が嫌がるようなことは、したくありませんので。元々殿下には、リアンナ様がこの国を出ていくところを見届けるように命じられていただけですから」
スラスラと私の質問に答えるカイン。
う〜ん……。でも本当に、そうなのだろうか?
「カイン、殿下の命令に背くようなこと……していないわよね?」
「!」
すると一瞬カインは驚いたように目を見開き、何故か少し目元を赤く染めた。
「リアンナ様……ひょっとして、僕を心配してくれているのですか?」
「それはそうよ。私のせいでカインを巻き込むわけにはいかないでしょう? 私はこの国を出ていくけど、カインはこの先もずっと殿下の側に残るわけなんだから」
「……そうですね。でも、僕のことはお構いなく。リアンナ様が出国されたら、殿下の元に戻って伝え……」
その時、突然カインが険しい顔をすると私の肩を抱き寄せてきた。
「え? な、何!?」
するとカインが耳もとで囁く。
「……誰かにつけられています」
「え!?」
慌てて振り返ろうとしたところを止められる。
「振り返ってはいけません。とりあえず、そこの路地裏に入ります」
カインは私を抱き寄せたまま、大股で路地裏に入っていった――