無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
4章 4 襲撃
路地裏に入ると、そこは鬱蒼とした茂みが生えた空き地だった。
「無用な争いはしたくありません。とりあえず、茂みの中に身を隠していてください」
カインは私の腕を引くと茂みの中に身を隠させ、手近な木の上にスルスルと登り始めた。
すごい……カインは木登りの天才だ。
丁度カインが木の上に登りきった頃、マント姿の3人の男たちが現れた。
一体彼らは何者だろう?
すると男たちが会話を始めた。
「おかしいな……確かにこっちへ来たと思ったのに」
「ここからどこかへ抜けていったのか?」
「どこかに隠れているかもしれないな、手当たり次第探してみよう」
そのとき1人の男が剣を抜くと、私がいる反対方向の茂みにいきなり突き刺した。
ガサッ!!
茂みの揺れる音が響き渡る。
「!」
思わず叫びそうになり、咄嗟に口を押さえた。
「おい、一体剣を突き刺してどうしたんだよ?」
別の男が声をかける。
「万一、茂みの中に隠れている可能性もあるだろう?」
「なるほど。それはあり得るな」
そしてもう1人の男も別の茂みに剣を突き刺していく。
ど、どうしよう……!
茂みの中で震えていた時。
ザッ!!
突然大きな音が聞こえて、地面がグラリと揺れた。
え? 何?
その途端。
「「「カインッ!!!」」」
男たちが同時に叫んだ。見ると、剣を構えたカインが地上に降り立っていたのだ。
「お前たち、一体どういうつもりなんだ? 追っていただけでなく、剣で茂みを探るような真似をして……」
その声は今まで聞いたことが無いほどに、凄みを帯びた声だった。茂みから顔をのぞかせると、険しい顔のカインが立っていた。
知らなかった……カインにあんな一面があったなんて。
いや、そもそもカインは騎士なのだ。今まで私達の前で、あのような姿を見せたことが無かっただけだったのだ。
「それはこちらのセリフだ、カイン」
「お前、殿下の護衛騎士でありながら何故命令に背く?」
「殿下からは逐一、状況を報告しろと言われていただろう? 何故、連絡を寄越さない」
え? そうだったの……?
それじゃ、カインは殿下の命令に従っていなかったっていうこと?
「……」
しかしカインは口を閉ざし、剣を3人に向けたまま返事をしない。
「しかし、俺達はツイていたな。噂の聖女を探していたら、まさかお前に合うとは。それに、さっき連れていた女……もしかして殿下に追放された女か?」
男の言葉に、思わず反応してしまった。
聖女って……まさか、私のこと? 彼らは私の名前を知らないのだろうか?
「だったら、何だと言う? 彼女がこの国を出るまで護衛をしているだけだ」
カインの言葉に1人の騎士が嘲笑った。
「ハハハハッ! 護衛だと? 正気か? どうせ不要人物として捨てられた女じゃないか? 家族にだって捨てられたと聞いているぞ? そんな女、別に野垂れ死のうが関係ないだろう? お前はただ殿下の命令に従って報告だけしておけば良かったんだよ!」
自分のことながら、騎士の話は尤もだと思った。
リアンナは殿下と家族から捨てられた。それどころか実兄から毒薬まで渡されて自殺を促されていた。
カインは私がこの国を出ていくのを監視するように言われていただけ。
殿下は邪魔なリアンナがいなくなってくれれば、それで良かったはずなのに……。
「騎士として、そんな真似をすることは出来ない。例え、殿下の命令に背いてでもな」
カインが切先を騎士たちに向けた。
「俺達相手にやるつもりか?」
「面白いな……」
「前から、お前が気に入らなかったんだよ!!」
騎士たちは剣を抜くと、一斉にカインに向かって襲いかかっていった――
「無用な争いはしたくありません。とりあえず、茂みの中に身を隠していてください」
カインは私の腕を引くと茂みの中に身を隠させ、手近な木の上にスルスルと登り始めた。
すごい……カインは木登りの天才だ。
丁度カインが木の上に登りきった頃、マント姿の3人の男たちが現れた。
一体彼らは何者だろう?
すると男たちが会話を始めた。
「おかしいな……確かにこっちへ来たと思ったのに」
「ここからどこかへ抜けていったのか?」
「どこかに隠れているかもしれないな、手当たり次第探してみよう」
そのとき1人の男が剣を抜くと、私がいる反対方向の茂みにいきなり突き刺した。
ガサッ!!
茂みの揺れる音が響き渡る。
「!」
思わず叫びそうになり、咄嗟に口を押さえた。
「おい、一体剣を突き刺してどうしたんだよ?」
別の男が声をかける。
「万一、茂みの中に隠れている可能性もあるだろう?」
「なるほど。それはあり得るな」
そしてもう1人の男も別の茂みに剣を突き刺していく。
ど、どうしよう……!
茂みの中で震えていた時。
ザッ!!
突然大きな音が聞こえて、地面がグラリと揺れた。
え? 何?
その途端。
「「「カインッ!!!」」」
男たちが同時に叫んだ。見ると、剣を構えたカインが地上に降り立っていたのだ。
「お前たち、一体どういうつもりなんだ? 追っていただけでなく、剣で茂みを探るような真似をして……」
その声は今まで聞いたことが無いほどに、凄みを帯びた声だった。茂みから顔をのぞかせると、険しい顔のカインが立っていた。
知らなかった……カインにあんな一面があったなんて。
いや、そもそもカインは騎士なのだ。今まで私達の前で、あのような姿を見せたことが無かっただけだったのだ。
「それはこちらのセリフだ、カイン」
「お前、殿下の護衛騎士でありながら何故命令に背く?」
「殿下からは逐一、状況を報告しろと言われていただろう? 何故、連絡を寄越さない」
え? そうだったの……?
それじゃ、カインは殿下の命令に従っていなかったっていうこと?
「……」
しかしカインは口を閉ざし、剣を3人に向けたまま返事をしない。
「しかし、俺達はツイていたな。噂の聖女を探していたら、まさかお前に合うとは。それに、さっき連れていた女……もしかして殿下に追放された女か?」
男の言葉に、思わず反応してしまった。
聖女って……まさか、私のこと? 彼らは私の名前を知らないのだろうか?
「だったら、何だと言う? 彼女がこの国を出るまで護衛をしているだけだ」
カインの言葉に1人の騎士が嘲笑った。
「ハハハハッ! 護衛だと? 正気か? どうせ不要人物として捨てられた女じゃないか? 家族にだって捨てられたと聞いているぞ? そんな女、別に野垂れ死のうが関係ないだろう? お前はただ殿下の命令に従って報告だけしておけば良かったんだよ!」
自分のことながら、騎士の話は尤もだと思った。
リアンナは殿下と家族から捨てられた。それどころか実兄から毒薬まで渡されて自殺を促されていた。
カインは私がこの国を出ていくのを監視するように言われていただけ。
殿下は邪魔なリアンナがいなくなってくれれば、それで良かったはずなのに……。
「騎士として、そんな真似をすることは出来ない。例え、殿下の命令に背いてでもな」
カインが切先を騎士たちに向けた。
「俺達相手にやるつもりか?」
「面白いな……」
「前から、お前が気に入らなかったんだよ!!」
騎士たちは剣を抜くと、一斉にカインに向かって襲いかかっていった――