無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
4章 9 高級ホテル
カインが手配してくれたホテルは『プレタ』の町で一番大きく、しかも高級ホテル
だったのだ。
「いいの? カイン。こんな高級そうなホテルに部屋を取ってくれるなんて」
案内された部屋は今までとは桁違いに広く、家具類もどれも高級そうなものばかりだ。
「ええ、大丈夫です。今夜はニーナとこの部屋に泊まって下さい」
カインが笑顔で頷く。
「本当に素敵な部屋ですね。カイン様、ありがとうございます」
ニーナが嬉しそうにお礼を述べると、ジャンが不服そうに唇を尖らせた。
「いいんですか? こんな大きくて高級ホテルに宿泊しても。殿下の騎士たちに追われているんですよね? 彼らもこのホテルに泊まるんじゃないですか? 見つかったらどうするんです?」
するとカインが笑った。
「いや、騎士達はこんな高いホテルには泊まらないよ。特別手当が出るわけじゃないしね。だから大抵テントを張って野営するんだ。それに、こういう高級なホテルだと部屋に無理矢理押し入るような行為は絶対にさせないんだ。かえって都合がいいんだよ」
正論をスラスラ述べるカインに、ジャンは「うっ!」と呻いて一言も返す言葉を失っていた。
「なるほど、これではジャンよりもカイン様のほうが宿探しに向いていますね」
ニーナが納得したように頷く。
「それではまた後ほど。夕食の時間に会いましょう」
カインは笑顔で、ジャンを連れて部屋から出て行った。
扉が閉じられると、ニーナが話しかけてきた。
「何だか、完全に旅の主導権をカイン様に握られてしまったみたいですね」
「う〜ん、確かにそうね。でも仕方がないわ。だって、これからはカインが私達のために旅の資金を出してくれるのだから。でも本当にカインはこれでいいのかな? このまま私達と一緒にいれば、殿下に裏切り者と思われてしまうかもしれないのに」
「リアンナ様……恐らくもうカイン様は裏切り者として断定されていると思いますよ? だって殿下に報告する義務を怠っていたのですよね?」
「……やっぱり、カインはもう裏切り者扱いされているのかな?」
「ええ、確実ですね」
真面目な顔で頷くニーナ。
「カインは私がいやがるような真似はしたくないからと言って、報告しなかったそうなの。だけどそのせいで裏切り者になってしまうなんて……何だか申し訳ないわ。でも何故、そんな人生棒に振るような真似しちゃったんだろう」
思わずため息をつくと、ニーナが目を丸くした。
「……リアンナ様、今の台詞……本気で言ってるのですか?」
「え? 勿論本気だけど?」
「はぁ……なんて、お気の毒なカイン様なのでしょう」
「気の毒? うん、まぁ確かに気の毒な身の上になってしまったかもね。責任を感じるわ。何かお詫びを考えないと」
「なら、そのセリフをカイン様に言ってあげて下さい。きっと喜びますよ」
「うん、そうね」
返事をしながら、私は思った。
やっぱり、カインをこのままにしておくわけにはいかない――
****
この日の夕食は、とても豪華だった。
「すごい……やっぱりホテルが高級だと、料理まで高級なんですね!」
「本当! こんなに美味しい料理を食べられるなんて夢みたいです、ありがとうございます」
さすが、双子。
同じようなリアクションで夢中になって食事をしている。
その様子を見ながら、私はカインに話しかけた。
「カイン、本当にありがとう。またお金を稼げるようになったら、その時は必ず返すから」
「いいんですよ、気になさらないで下さい」
カインが笑ったその時。
「あ! もしかしてあなたは聖女様ではありませんか!」
不意に大きな声で話しかけられた――
だったのだ。
「いいの? カイン。こんな高級そうなホテルに部屋を取ってくれるなんて」
案内された部屋は今までとは桁違いに広く、家具類もどれも高級そうなものばかりだ。
「ええ、大丈夫です。今夜はニーナとこの部屋に泊まって下さい」
カインが笑顔で頷く。
「本当に素敵な部屋ですね。カイン様、ありがとうございます」
ニーナが嬉しそうにお礼を述べると、ジャンが不服そうに唇を尖らせた。
「いいんですか? こんな大きくて高級ホテルに宿泊しても。殿下の騎士たちに追われているんですよね? 彼らもこのホテルに泊まるんじゃないですか? 見つかったらどうするんです?」
するとカインが笑った。
「いや、騎士達はこんな高いホテルには泊まらないよ。特別手当が出るわけじゃないしね。だから大抵テントを張って野営するんだ。それに、こういう高級なホテルだと部屋に無理矢理押し入るような行為は絶対にさせないんだ。かえって都合がいいんだよ」
正論をスラスラ述べるカインに、ジャンは「うっ!」と呻いて一言も返す言葉を失っていた。
「なるほど、これではジャンよりもカイン様のほうが宿探しに向いていますね」
ニーナが納得したように頷く。
「それではまた後ほど。夕食の時間に会いましょう」
カインは笑顔で、ジャンを連れて部屋から出て行った。
扉が閉じられると、ニーナが話しかけてきた。
「何だか、完全に旅の主導権をカイン様に握られてしまったみたいですね」
「う〜ん、確かにそうね。でも仕方がないわ。だって、これからはカインが私達のために旅の資金を出してくれるのだから。でも本当にカインはこれでいいのかな? このまま私達と一緒にいれば、殿下に裏切り者と思われてしまうかもしれないのに」
「リアンナ様……恐らくもうカイン様は裏切り者として断定されていると思いますよ? だって殿下に報告する義務を怠っていたのですよね?」
「……やっぱり、カインはもう裏切り者扱いされているのかな?」
「ええ、確実ですね」
真面目な顔で頷くニーナ。
「カインは私がいやがるような真似はしたくないからと言って、報告しなかったそうなの。だけどそのせいで裏切り者になってしまうなんて……何だか申し訳ないわ。でも何故、そんな人生棒に振るような真似しちゃったんだろう」
思わずため息をつくと、ニーナが目を丸くした。
「……リアンナ様、今の台詞……本気で言ってるのですか?」
「え? 勿論本気だけど?」
「はぁ……なんて、お気の毒なカイン様なのでしょう」
「気の毒? うん、まぁ確かに気の毒な身の上になってしまったかもね。責任を感じるわ。何かお詫びを考えないと」
「なら、そのセリフをカイン様に言ってあげて下さい。きっと喜びますよ」
「うん、そうね」
返事をしながら、私は思った。
やっぱり、カインをこのままにしておくわけにはいかない――
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この日の夕食は、とても豪華だった。
「すごい……やっぱりホテルが高級だと、料理まで高級なんですね!」
「本当! こんなに美味しい料理を食べられるなんて夢みたいです、ありがとうございます」
さすが、双子。
同じようなリアクションで夢中になって食事をしている。
その様子を見ながら、私はカインに話しかけた。
「カイン、本当にありがとう。またお金を稼げるようになったら、その時は必ず返すから」
「いいんですよ、気になさらないで下さい」
カインが笑ったその時。
「あ! もしかしてあなたは聖女様ではありませんか!」
不意に大きな声で話しかけられた――