無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
4章 11 青年の恋人
青年に案内されたのは、1階にある客室だった。
「この部屋に俺の恋人がいます」
神妙な顔で青年が私に語る。
「ご病気なのですか?」
「病気の恋人を連れて歩くなんて、無謀じゃないか?」
カインとジャンが交互に青年に尋ねた。
「いえ、寝込むような病気ではないのですが……とりあえず中へ入りましょう」
寝込むような病気ではない?
だとしたら、一体彼女はどのような病気なのだろう?
私が訝しんでいるうちに青年は扉を開けた。すると窓の外を眺めている赤毛の青年が椅子に座っている姿があった。
「ちょっと、部屋を間違えたんじゃないですか?」
ニーナが青年に声をかける。
「いえ、この部屋であっています」
青年は頷くと、部屋の中へ入っていった。
「もしかして、3人連れだったのでしょうか?」
カインが耳打ちしてくる。
「う〜んそうかもしれないわね」
私達も室内に入ると、窓を眺めていた人物が不思議そうに私達をみつめる。
「サム、食事は終わったのか? ところで……後ろにいる人達は誰だい?」
「食事はこれからだよ。それより、喜んでくれよ! リュック! 聖女様御一行をついに探し出せたんだよ!」
私達に声をかけてきた青年……サムが笑顔で大声をあげた。
「え? まさか……」
座っていた赤毛の青年、リュックが驚きの表情を浮かべる。
「そう、この方が聖女様だよ!」
サムが私を指さす。
「おい! 指をさすとは無礼じゃないか!」
先ほど「この女」呼ばわりしたジャンがサムに文句を言う。
う〜ん……私からすれば、2人とも無礼だと思うのだけど……。
「それより、病気の恋人はどこにいるのです?」
気を取り直して、私はサムに尋ねた。
「え? だから案内してきたじゃないですか?」
首を傾げるサム。
「だって、この部屋には……」
そこまで言いかけて、あることに気づいた。
「あ、あの……まさか、恋人って……?」
「そうですよ。彼が俺の恋人のリュックです」
すると、赤毛の青年……リュックが照れ臭そうに笑う。
「初めまして、聖女様……俺がサムの恋人のリュックです」
「「「「えええええっ!?」」」」
私達が驚いたのは……言うまでもなかった――
****
「そ、そんな……男性が恋人なんて……」
「あり得ない……そんな事があっていいはずない……」
カインとジャンは男性同士のカップルということが余程ショックだったのか、壁に頭を付けてブツブツ呟いている。
一方、受け入れているのはニーナの方だ。
「まぁ、人それぞれ趣味趣向が違いますからね。私はぜーんぜん、平気ですよ」
「本当ですか?」
「俺達のこと、おかしいと思わないんですか?」
サムとリュックは真剣な顔でニーナに尋ねている。
「ええ、おかしくないですよ! 色々障害が多い恋かもしれませんが、私は2人の恋を応援します! だから負けないで下さい!」
「ありがとう!」
「初めて理解者に出会えた!」
う〜ん、何故かニーナは彼らと意気投合したようだ。
それよりも……これでは話が進まない。
「あの〜……お話中、すみません。ところでリュックさんは、どのようなご病気なのですか?」
手を上げて質問すると、2人の青年が期待を込めた目を私に向けてきた。
「え? それでは……」
「治療してもらえるんですね!?」
「い、いえ。聖女の力は万全ではないので治療できるかどうかは分かりませんが、お話だけでも伺おうかと思いまして……」
うう、これではまるで詐欺師みたいだ……。
罪悪感を抱きつつ、私は愛想笑いをした――
「この部屋に俺の恋人がいます」
神妙な顔で青年が私に語る。
「ご病気なのですか?」
「病気の恋人を連れて歩くなんて、無謀じゃないか?」
カインとジャンが交互に青年に尋ねた。
「いえ、寝込むような病気ではないのですが……とりあえず中へ入りましょう」
寝込むような病気ではない?
だとしたら、一体彼女はどのような病気なのだろう?
私が訝しんでいるうちに青年は扉を開けた。すると窓の外を眺めている赤毛の青年が椅子に座っている姿があった。
「ちょっと、部屋を間違えたんじゃないですか?」
ニーナが青年に声をかける。
「いえ、この部屋であっています」
青年は頷くと、部屋の中へ入っていった。
「もしかして、3人連れだったのでしょうか?」
カインが耳打ちしてくる。
「う〜んそうかもしれないわね」
私達も室内に入ると、窓を眺めていた人物が不思議そうに私達をみつめる。
「サム、食事は終わったのか? ところで……後ろにいる人達は誰だい?」
「食事はこれからだよ。それより、喜んでくれよ! リュック! 聖女様御一行をついに探し出せたんだよ!」
私達に声をかけてきた青年……サムが笑顔で大声をあげた。
「え? まさか……」
座っていた赤毛の青年、リュックが驚きの表情を浮かべる。
「そう、この方が聖女様だよ!」
サムが私を指さす。
「おい! 指をさすとは無礼じゃないか!」
先ほど「この女」呼ばわりしたジャンがサムに文句を言う。
う〜ん……私からすれば、2人とも無礼だと思うのだけど……。
「それより、病気の恋人はどこにいるのです?」
気を取り直して、私はサムに尋ねた。
「え? だから案内してきたじゃないですか?」
首を傾げるサム。
「だって、この部屋には……」
そこまで言いかけて、あることに気づいた。
「あ、あの……まさか、恋人って……?」
「そうですよ。彼が俺の恋人のリュックです」
すると、赤毛の青年……リュックが照れ臭そうに笑う。
「初めまして、聖女様……俺がサムの恋人のリュックです」
「「「「えええええっ!?」」」」
私達が驚いたのは……言うまでもなかった――
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「そ、そんな……男性が恋人なんて……」
「あり得ない……そんな事があっていいはずない……」
カインとジャンは男性同士のカップルということが余程ショックだったのか、壁に頭を付けてブツブツ呟いている。
一方、受け入れているのはニーナの方だ。
「まぁ、人それぞれ趣味趣向が違いますからね。私はぜーんぜん、平気ですよ」
「本当ですか?」
「俺達のこと、おかしいと思わないんですか?」
サムとリュックは真剣な顔でニーナに尋ねている。
「ええ、おかしくないですよ! 色々障害が多い恋かもしれませんが、私は2人の恋を応援します! だから負けないで下さい!」
「ありがとう!」
「初めて理解者に出会えた!」
う〜ん、何故かニーナは彼らと意気投合したようだ。
それよりも……これでは話が進まない。
「あの〜……お話中、すみません。ところでリュックさんは、どのようなご病気なのですか?」
手を上げて質問すると、2人の青年が期待を込めた目を私に向けてきた。
「え? それでは……」
「治療してもらえるんですね!?」
「い、いえ。聖女の力は万全ではないので治療できるかどうかは分かりませんが、お話だけでも伺おうかと思いまして……」
うう、これではまるで詐欺師みたいだ……。
罪悪感を抱きつつ、私は愛想笑いをした――