無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
5章 9 殿下との再会
いつも一緒にいたニーナもジャンも、カインの姿も見えない。
おまけに扉は鍵でもかかっているのか開かないし、窓の外は断崖絶壁で下は海。
不安な気持ちを紛らせるためにはウクレレでも弾くしかない。
ウクレレを拾い上げた瞬間、突然音を立てて扉が開かれて青年が小屋の中に現れた。
「ほぅ……ようやく目が覚めたか。リアンナ」
ブロンドの髪に青い瞳の青年が私を見下ろす。
あれ……? この人、一体誰だろう? どこかで見たことがある気がするんだけど……?
見たことがあるのは確かだけれど、どこで会ったのかが全く思い出せない。
「どうした? まだ目が覚めていないようだな?」
青年は話しながら小屋の中に入ってくると私の近くまでやってきた。
イケメンではあるけれど、この青年には何故か不快感しか抱けない。どこか見下されている様な気がしてならないのだ。
「まさか、まだ睡眠薬が抜けきっていないのか……? それにしても驚きだ。本当にお前は、あのリアンナなのか? 随分雰囲気が変わったじゃないか。あの頃は見るからに性格の悪そうな顔つきをしていたのに、今ではまるで別人のように見える。だが……うん、以前よりずっといいな」
青年は私が疑問を抱いているのに、気付く様子もなくペラペラと話している。
「自分が何故、こんな場所にいるのか全く分かっていないようだな。それよりいい加減、何か話せ。さっきから俺ばかり話しているじゃないか。それとも久しぶりに俺を見て、美しさで言葉をなくしてしまったか?」
確かに美青年であるかもしれないが、どうにも私には受け付けない。
カインの方がずっとずっと素敵だと思う。
駄目だ……いくら思い出そうとしてもどうしても思い出せない。
こうなったら、本人に直接聞くしかない。
「あの〜……失礼ですが、どちら様でしたっけ?」
「……何? 今、何と言った?」
すこしの間の後、青年が目を見開いた。
「すみません。どうしても貴方が誰だったのか思い出せなくて。お名前を教えて頂けますか?」
「お前……本気でそんなことを尋ねているのか? この俺に向かって」
青年が赤い顔で、肩を震わせ始めた。
あ、これはまずい。もしかして怒らせてしまったのかもしれない。
「ふざけるな! 俺を怒らせるつもりで言ってるのか? 聖女と持てはやされていい気になってるんじゃないだろうな! この俺、レオパルト・クラッセンを忘れたのか!」
レオパルト・クラッセン……レオパルト……。
「あっ!!」
殿下だっ!! そうだ、すっかり忘れていた! 確かこんな顔をしていたっけ!
「その驚きよう、本当に俺の事を忘れていたようだな。それとも惚けていたのか? まぁいい。ようやく見つけたぞ、リアンナ」
殿下は私にさらに近づく。
「い、一体何の御用でしょうか? 私は殿下に言われるままに城を出ましたし、家族からはこの国を出ていくように言われました。それなのに何故でしょうか?」
すると殿下は不敵に笑う。
「何の用? そんなことは決まっている。裏切り者のカインを捕らえ、ついでに聖女と呼ばれているお前の力を見せてもらう為だ。もし嘘だったなら聖女を語った罪で収監するし、本物の聖女だったら、お前を妻に娶ってやろう。どうだ? 嬉しいだろう?」
「そ、そんな……!」
冗談じゃない! どっちにしろ、私にとっては最悪だ!
誰か助けに来てくれないだろうか……?
そこで、気付いた。皆はどうしたのだろう!?
「殿下! 私と一緒にいた人たちはどうなったのですか!?」
「ああ。そう言えば若い男と女がいたな。別にあの2人は必要ないから放っておいた。捕らえたのはお前とカインだ。カインは縛り上げられて逃げられないようにしている」
「カインを……捕らえた?」
「カインは俺の右腕として働いていたからな……嫉妬する騎士が多くいたんだ。あいつら、今頃手を出しているかもしれないな」
「そんな……お願いです! カインに酷いことをしないで下さい!」
「それはお前次第だ。さぁ、今すぐここで聖女の力を見せてみろ!」
殿下は鋭い目で睨みつけてきた――
おまけに扉は鍵でもかかっているのか開かないし、窓の外は断崖絶壁で下は海。
不安な気持ちを紛らせるためにはウクレレでも弾くしかない。
ウクレレを拾い上げた瞬間、突然音を立てて扉が開かれて青年が小屋の中に現れた。
「ほぅ……ようやく目が覚めたか。リアンナ」
ブロンドの髪に青い瞳の青年が私を見下ろす。
あれ……? この人、一体誰だろう? どこかで見たことがある気がするんだけど……?
見たことがあるのは確かだけれど、どこで会ったのかが全く思い出せない。
「どうした? まだ目が覚めていないようだな?」
青年は話しながら小屋の中に入ってくると私の近くまでやってきた。
イケメンではあるけれど、この青年には何故か不快感しか抱けない。どこか見下されている様な気がしてならないのだ。
「まさか、まだ睡眠薬が抜けきっていないのか……? それにしても驚きだ。本当にお前は、あのリアンナなのか? 随分雰囲気が変わったじゃないか。あの頃は見るからに性格の悪そうな顔つきをしていたのに、今ではまるで別人のように見える。だが……うん、以前よりずっといいな」
青年は私が疑問を抱いているのに、気付く様子もなくペラペラと話している。
「自分が何故、こんな場所にいるのか全く分かっていないようだな。それよりいい加減、何か話せ。さっきから俺ばかり話しているじゃないか。それとも久しぶりに俺を見て、美しさで言葉をなくしてしまったか?」
確かに美青年であるかもしれないが、どうにも私には受け付けない。
カインの方がずっとずっと素敵だと思う。
駄目だ……いくら思い出そうとしてもどうしても思い出せない。
こうなったら、本人に直接聞くしかない。
「あの〜……失礼ですが、どちら様でしたっけ?」
「……何? 今、何と言った?」
すこしの間の後、青年が目を見開いた。
「すみません。どうしても貴方が誰だったのか思い出せなくて。お名前を教えて頂けますか?」
「お前……本気でそんなことを尋ねているのか? この俺に向かって」
青年が赤い顔で、肩を震わせ始めた。
あ、これはまずい。もしかして怒らせてしまったのかもしれない。
「ふざけるな! 俺を怒らせるつもりで言ってるのか? 聖女と持てはやされていい気になってるんじゃないだろうな! この俺、レオパルト・クラッセンを忘れたのか!」
レオパルト・クラッセン……レオパルト……。
「あっ!!」
殿下だっ!! そうだ、すっかり忘れていた! 確かこんな顔をしていたっけ!
「その驚きよう、本当に俺の事を忘れていたようだな。それとも惚けていたのか? まぁいい。ようやく見つけたぞ、リアンナ」
殿下は私にさらに近づく。
「い、一体何の御用でしょうか? 私は殿下に言われるままに城を出ましたし、家族からはこの国を出ていくように言われました。それなのに何故でしょうか?」
すると殿下は不敵に笑う。
「何の用? そんなことは決まっている。裏切り者のカインを捕らえ、ついでに聖女と呼ばれているお前の力を見せてもらう為だ。もし嘘だったなら聖女を語った罪で収監するし、本物の聖女だったら、お前を妻に娶ってやろう。どうだ? 嬉しいだろう?」
「そ、そんな……!」
冗談じゃない! どっちにしろ、私にとっては最悪だ!
誰か助けに来てくれないだろうか……?
そこで、気付いた。皆はどうしたのだろう!?
「殿下! 私と一緒にいた人たちはどうなったのですか!?」
「ああ。そう言えば若い男と女がいたな。別にあの2人は必要ないから放っておいた。捕らえたのはお前とカインだ。カインは縛り上げられて逃げられないようにしている」
「カインを……捕らえた?」
「カインは俺の右腕として働いていたからな……嫉妬する騎士が多くいたんだ。あいつら、今頃手を出しているかもしれないな」
「そんな……お願いです! カインに酷いことをしないで下さい!」
「それはお前次第だ。さぁ、今すぐここで聖女の力を見せてみろ!」
殿下は鋭い目で睨みつけてきた――