White Milk
1.子猫と飼い主
今日はどうしても落ち着かない。
いつもよりかなり早く学校――俺の職場へ車で向かう。
そして隣には1匹の猫。
いや、1人の少女といった方が正しいだろう。
運転しながら横目でチラっと見ると、微かに緊張してるように見える。
考えてることが顔に出にくいコイツのことだ。
かなり緊張してるんだろう。
左手をハンドルから離し、隣の頭に手を置きクシャっと撫でながら話しかける。
「美亜、そんな緊張してんな。……大丈夫だから。」
――コクン
小さく頷いたのを見て、俺はまたハンドルに手を戻した。
静かに車を走らせる。
しばらくすると見慣れた校舎が見えてきた。
「ほら、ここだ。」
俺の仕事場、そしてこれから美亜の通う高校。
「降りるぞ。」
車から降りて歩いていくと、トトトっと俺の後ろまで走ってきて寄り添い歩く。
「んな怖がんなくたって、ちゃんとやってけるって。」
そう言ってもやはり不安は拭えないらしい。
怯えた目で俺を見てくる美亜の頭をもう1度撫でてやった。