White Milk

少し歩いて、使ってない机と椅子がある空き教室に入る。

美亜が入るのを待って扉を閉めた。

「美亜。大丈夫か?」

そう言うと泣きそうな顔で俺の方に振り返った。

「……圭一のバカ!」

お、やっと喋った。

今日は朝から緊張してたらしくて、俺にも全く喋らなかった。

「何で……、交流会とか。」

「美亜。いいか、次の時間で美亜が一緒にいやすそうな奴探せ。話してみなきゃ分かんねーだろ。」

「……でも。」

はあ、とわざとらしく深くため息を吐く。

すると美亜がビクっと体を揺らした。

「……美亜。俺がいるだろ?大丈夫だ。」

頭を撫でてやる。

そうすれば、安心して頷くんだ。

「お前が人見知りで、まともに話せないことは俺がちゃんと言うから。」

美亜は極度の人見知りだ。

――俺以外に対して。

もちろん家族とかは別だけど。

「……圭一。」

「ん?」

美亜の目の高さに視線を合わせて先を促す。

「頑張る。」

そう言った美亜に、自然と笑みがこぼれた。

「よし。よく言った。……じゃあ机運ぶから、美亜は椅子な。」


――頑張る。

美亜の口から聞けたことが心底嬉しい。

嘘偽りのない、真っ直ぐな言葉。


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