White Milk
孝介は渋々といった感じで口を開いた。
「……なんでこんな時期に転校してきたの?」
――げ。
あー失敗だ。
いたずらに孝介なんか当てるんじゃなかった。
ったく。
こんな質問すんなよな。
横を見れば美亜がまた困ったように俺を見ていた。
「えー…それは。」
俺が話始めると横で美亜がほっと息をつくのが分かった。
「浅井の御両親がこの時期にこっちに転勤になったからだ。ほら、次は。」
それからクラスからの質問が続いて、あっという間まに時間が過ぎた。
美亜は少しだけど、ちゃんと自分の口で話せて安心したようだ。
彼氏はいるんですかー?とかありきたりな鬱陶しい質問もあったりしたけど。
そこはもちろん俺が適当にあしらった。
「じゃー終わり。浅井の席は、1番後ろの窓際。佳奈、面倒よろしくな。」
「はーい!任せといて!」
佳奈は明るくて、サバサバした女の子。
俺の目から見ても性格は良いし、人の気持ちをちゃんと汲み取れるやつだと思う。
佳奈が隣の席でよかった。
俺が立ち上がると美亜は俺を目で追い、立ち上がる。
「浅井。佳奈はいいやつだ。心配すんな。」
――コクン
美亜が頷くのを見て、頭を撫でて教室を後にした。