モイラ --天使が犯した罪と罰--
【0】ユマ:堕ちた天使
「ユマ、お願いだ………。
この手で、俺を殺してくれ………」
最期に聞いた貴方の声はとてもか細くて、
命の灯火が消えてしまう──そんな予感がした。
私と貴方の周りには炎が囲み、黒煙が上がっている。
(助からない)と歯を食い縛ってもただ無駄なだけで、
私と貴方との間では静寂が流れている。
「……っ」
私は泣きながら、貴方の首の根っこをゆるりと掴んで
そして思いっきり力を込めた。
ひゅっ、と貴方の息の根を感じながら私は、
貴方の命の灯火を、簡単に吹き消した。