モイラ --天使が犯した罪と罰--
でも貴方は続けていったね。
『……最期は君がいい。
君の手で俺を、生まれ変わらせて』
それが貴方の運命の糸の終着点ならば、
貴方の輪廻転生を紡げるのならば、
私はきっと貴方の“運命の女神”になれるのだ──……。
貴方の瞳孔が開き、呼吸と心臓が止まったのを、私は泣きながら見つめた。
私は貴方の生、もとい運命の糸を切断した。
それは決して赦されないことであると分かっていた。
けれど貴方はきっと現世では幸せになれず、
生まれ変わることでしか幸せにはなれない。
貴方は【ヘメラ】の象徴であるから、貴方が生き続ける限り、誰かが罪を重ねるのだ。
だから私は、貴方が生まれ変わることを信じて首を絞めた。
貴方は無事に産声を上げている?
運命の糸を、新たに紡いでいる?
ただ、それだけを願っている。
それが出来ていなければ、私はきっと、赦されることも、生きることも、死ぬこともできない。