モイラ --天使が犯した罪と罰--
「あれ?アリアは、いらなかったのになぁ…」
クロイの研究室に入ると、開口一番に彼はそう言った。
「別にいいじゃないの。
研究をするなら人手があった方がね」
「え~、俺の足手まといにならないよね?」
「なるわけないでしょ。
ほら、始めるわよ」
クロイはまず私に心臓のエコーをする。
胸元を彼に開くのは恥ずかしかったが、彼の眼差しは真剣そのもので、私の問いかけにも真面目に答えてくれる。
「私の心臓、大丈夫なんですか?」
「うん、心拡大も無いし、心室の状態も大丈夫」
「そうなんですね」
ただ、クロイもアリアも一点だけ集中して見た部分があった。
私には医療の知識は無いが、ただならない雰囲気であることは分かり、白黒のエコー画面を凝視した。
「アリア、フリーズするからプリントしてくれる?」
「分かったわ。
フリーズしたら教えてちょうだい」
「これ、一旦読影に回すか……。
ユマさん、時間大丈夫?」
「はい、今日は1日大丈夫です」