モイラ --天使が犯した罪と罰--
甘いものが好きな二人ならきっと素敵な旅行になるよ、なんて言った君の頬は柔らかなピンク色をしていて安心する。
ずっとそのままでいて。
「クロイ先生」
「ん…何、ユマ」
「もしね、私がこの世界から消えてしまったらね」
お互いの手のひらはぎゅっと繋がるのに、君との赤い糸は解れて今にも消えそうだ。
もし、なんて言わないでくれよ。
でも君の声を遮ることはできなくてぐっとこらえる。
「私のこと、忘れて欲しいな」
無理だよ、そんなことできない。
俺は黙ったまま首を横に振るしかなかった。
きっと俺のことを考えての言葉だとは分かっているのに、その言葉は余りにもトゲのように鋭い。
「……そんなことを言うなら、死ぬまで俺のことを忘れないで」
君は俺の言葉に頷く。
首を縦に振る姿を見て、ほっとした自分がいた。
それはまるで君を縛り付けるような言葉だと、俺は気付いていた。
君に生きて欲しくて、いっぱいいっぱいだった。
こんなことになるなら俺は
君にもっと、好きと言えばよかったんだ。