モイラ --天使が犯した罪と罰--
そして、俺は君が“死ぬまで”を見ていた。
俺は君がいなくなることを、受け入れられていなかったのに。
術後、ICUですぐに不穏は起きた。
君はずっと笑いながら、この世界が透明に見えると叫んでいた。
蝶々が待っているのだと、潰して粉々にしなければいけないのだと。
鎮静剤を使用しようが、時間が経とうが解決せず、緊急的にCTを撮影する前に……その時は来た。
「──……VFです!!」
「…アドレナリン追加して!心マ交代してくれ!!」
「3分経過しました……!波形確認します!」
「VTか、クソッ──……!!」
俺が君の手を握っていた時に、モニターの脈の波形が伸びて……揺らいでいった。
ぐらぐらと揺れる波形を見つめたとき、すぐに看護師と医師が彼女の元へと駆け付け、救命措置が施された。
心臓マッサージ、電気ショック、薬剤投与をしても君の心臓の波形は元に戻らず、俺は絶望の中その光景を見つめていた。