モイラ --天使が犯した罪と罰--
Who am I?
「そこからは、アリアが知っている物語だよ」
ユマの死後、“クロイ・トワイライト”は研鑽を積み──センター長補佐まで登り詰めた。
「心タンポナーデだったよ、早かった。
穿刺までしたけれど……駄目だった」
いつまでも心の中に君がいて、君が世界の中心だったのに。
今、その中心を失って、自分というものが揺らいでいる。
こんなにも、自分が弱いだなんて……知らなかった。
「アタシ、知らなかったわ。
アタシの兄が執刀したこともそうだけど…」
「アリアのお兄さんは悪くないよ。
移植しなかったら、遅かれ早かれ亡くなっていたからね」
「分かってるわ、でも……アンタの大切な人だったんでしょ?」
「そうだよ、“守りたい”と思える人はユマが初めてだった」