モイラ --天使が犯した罪と罰--



「星になればいいんだよ」



──そうすれば、生まれ変われないから。



「………」



人間に生まれ変われない罰を受けるが、それでいて天で人間を見守ることが出来る。


天使と同じ役割を果たすことが出来る。


だから一人ぼっちで、永遠の時を彷徨う、星になればいい。



「エリス、貴方は……私を星にするために来たの?」



そう呟くとエリスの羽根は少しだけぴくりと動き、一番星は更に強く煌めく。


月の光だけが、変わらずそこにあった。



「僕がね、天使になって初めて教わったことはね、【ならず者】を星にする方法だったんだよ」


「…災いの、天使だから?」


「ぴんぽーん。
全く、天使の癖になんだか僕って人殺しみたいだよね。
その方法を聞いて、“あーやっぱり地獄に行けば良かった”なんて思っちゃったよ」



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