モイラ --天使が犯した罪と罰--
心臓医療の神・サンライズ家
「ユマ、ごめんなさい。
今日はちょっと調子が悪いから、何か買って食べてくれないかしら」
「大丈夫ですか?
私、胃に優しいものを作りますけど…」
「いいのよ、たまには外食もしたいでしょう?
近くにパスタ屋さんが出来たみたいだから、行ってみたらどうかしら」
11月になるとアリアは徐々に憔悴し、顔色が悪く、寝込む日が増えた。
本人は“季節の変わり目だから”だとか、“風邪を引きやすいから”だとか理由を付けているが、私はアリアの部屋にある精神安定剤の入った小瓶の中が減り続けているのに気づいていた。
最近は、アリアにお願いをして、家事は私が全て引き受けている。
側で様子を見続けるも、アリアは徐々にベッドから動けなくなり、毎日私が今出来ることを模索していた。
(リラックスにはカモミールティーがいい…メモしておこう)
アリアさんから借りたパソコンの検索履歴は、いつの間にか沢山のワードで埋まっていた。
身体を温めるのがいいだとか、散歩に行くのがいいだとか、色々な情報をかき集めたが、かえってアリアに気を遣わせてしまうのではないかと心配になる。