モイラ --天使が犯した罪と罰--
寝ているアリアの側にそっと置き手紙を置くと、私は作ったミルク粥をちまちまと頬張る。
しんと静まっているリビングが妙に落ち着かなくて、テレビを付けると丁度コマーシャルが流れていた。
明るく陽気なコメディアンがシリアルを紹介していたが、その次に流れたコマーシャルに私は釘付けになる。
(……!)
私は思わず、持っていたスプーンをテーブルクロスの上に落としてしまった。
画面に写っている人物に、見覚えがあったからだ。
『──ニュクスを騒がせたカルト集団、【ヘメラ】はなぜ炎と共に消えたのか?
創始者が愛した青年・【アイテル】の正体とは?
独占ドキュメンタリー・“【ヘメラ】と天使”は明日夜21時に放送──……!』
さあっと身体から血の気が引くのを感じた。
がくがくと唇が震えだし、嘔気をひたすらに堪えながらも、私は最後までそのコマーシャルを見た。
テレビに映っていたのは、私が心から会いたいと願う【アイテル】の姿があった。
銀髪に琥珀の瞳は、私が最期に貴方を絞め殺した時と一緒で、ぎゅうっと心臓が痛んだ。