モイラ --天使が犯した罪と罰--
「ユマ、ごめんなさいね。
わざわざこんなに美味しそうなものを作ってくれて…アタシ、嬉しいわ」
「いえ、私が勝手に作りたかっただけなので…。
無理して食べなくても大丈夫ですよ?」
「ううん、食べるわ。
だってユマの手料理だなんて、愛らしくて仕方がないもの」
しばらくするとアリアは目覚め、リビングで私が作ったミルク粥をスプーンで掬っていく。
少しアリアは痩せたような気がして、私は椅子に座りながらぎゅうっと手を握った。
私は結局、何もできていないような気がするから。
「うん、美味しい。
優しい味ね、アタシこれ好きよ」
「……!」
「嬉しそうなカオ、も~そんな顔されたら食べちゃいたくなるわ」
「アリアさんになら食べられてもいいかもです」
「!?
待って、今のはちょっとキケンすぎるわ」
何故かいきなり悶えだすアリアに対して首を傾げたが、「もう、無自覚ね」とまた微笑んだ。
いつの間にかミルク粥が入っていた器は空になっており、私たちは並んでソファーに座ってテレビを見る。