モイラ --天使が犯した罪と罰--
「ユマ、少し肩を借りてもいいかしら」
「もちろんです。
でも、いきなりどうしたんですか?」
「んー、食後だからちょっと眠くなっちゃったのよね」
とんとアリアが私の肩へ頭を乗せる。
私は思わずアリアの頭を優しく撫でたが、「…気持ちいい、もっと」と呟く彼の顔が余りにも綺麗で、思わず手を引っ込めてしまった。
「あら、やめちゃうの?」
意地悪そうなのに、アリアの表情は余りにも甘くて、私は根負けし頭を撫で続ける。
そういえば、アリアにこうして距離が近づくのは初めてかも、なんて感じながら頬が赤くなっていく。
「アリアさん、髪…サラサラ」
「ホームケアには気を遣ってるのよ?
あ、でもユマはアタシのトリートメントとか、ヘアオイルとか、全然使ってくれないのね…」
「勝手に使うのは流石に申し訳ないですよ。
それに、シャンプーだって絶対高いものですよね?
使うとき私、緊張しちゃいます」
「やけに量が減らないのはそのせいだったのね!?
もう、ユマの髪質に合わせて買ったんだから、好きなよーに使いなさい!」
いつもの調子のアリアに安心すると、ふと自分の首筋に彼の吐息が当たっているのに気づいた。
それに気づくと、私は赤い頬が更に熱を帯びて、ぎゅうっと目を瞑った。